お産を語る、お産を聴く 〜ブレスワークとバースストーリー
8月に初めて板垣文恵助産師と共に「いのちを語る、いのちを聴く 〜バースストーリーと呼吸の会〜」をオンラインで開催しました。
小さな人数で、一人ひとりの声を大切に受け止めながら進んだ時間でした。
今日はその会に参加して下さったAさんの声をご紹介させてください。
Aさんの声
深く自分に潜り、お産を追体験するような時間でした。
あらためて語ることで、過去の出来事の記憶がこんなにも変わるのだと、そのパワーを実感しました。
Aさんはこうも振り返ってくださいました。
あの日からずっと私の中で穏やかにプロセスが続いていたような感じで、夜や朝に目を瞑って呼吸するだけでいろんなことを思い出しました。
娘の寝顔を見つめながら、「私はこの手を握るために生まれてきたんだった」と気づきました。
妊娠中、私は妙に冷静に振る舞っていたけれど、本当は奥底で喜びと愛にあふれていた。それを感じきりたかったのだと今は思います。
出産の嵐のような時間の奥底にも、ちゃんと愛があった。その愛はきっと娘に伝わっているのだと、今は感じています。
これから娘と共に生きていくうえで、弱くてもいい、格好悪くてもいい。ただ生きているだけでいい。頭ではなく心で「今ここ」を感じきることを大切にしていきたいです。
語るということの力
今回、改めて感じたのは「語ること」の力です。
文恵さんも私も、何かを問うたとしても、誰かの語りを誘導することはしません。
ただ、その人の内側から自然に立ち上がる言葉を静かに待つ。
体験をとらえなおし、紡ぐ力は、その人自身の中にあります。
自分のストーリーを語るとは
ぼんやりとした記憶、抑圧した体験を、迎えに行き、感じ、言葉にし、つなぎなおしていくこと。
私たちができるのは、その力を信じて見守ること。聴き続けることだけ。
いのちをエンパワーする力は、外から与えられるものではなく、その人の内側にあるのだと強く感じました。
子宮のような場
共に場をつくってくれている文恵さんは、この会を「子宮のような場」と表現してくれました。
何の評価もなく、ありのまま、はだかのままで温かく守られている場。
その中でこそ、人は安心して自分の奥底に触れ、語り、紡ぎなおし、そしてまた歩みだすことができるのだと思います。
自宅で産む、という選択をしたご家族を沖縄の地で支え続けてきた文恵さんは、命を信じ、委ね、待つという、子宮そのもののような存在です。
命の語りとブレスワーク
「いのちからの語り」は、普段の思考優位の状態ではなかなか出てきません。
だからこそ、語る時間の前に、ブレスワークで潜在意識にアクセスし、抑えてきた感情や記憶がそっと開かれていく時間と空間をとっています。
そうしてほころんだ結び目を迎えに行き、紡ぎなおしたところから人生を再び歩みだすとき、人は自分の内側から湧き上がる命の力を信頼し、より「自分の人生を自分で生きている」という実感を取り戻していくのだと思います。
なぜ、この会を続けたいのか
私は、この体験にこそ「なぜこの会を続けるのか」の意味があると感じています。
お産の記憶は、ただ過去の出来事ではなく、語り直すことで新たな命の力へと変わっていく。
たとえそれが痛みの記憶だったとしても。
だから私は、求めてくださる方がいる限り、この会を続けていきたいのです。
次回のご案内
次回は 10月9日(木)10時〜16時、オンラインで「いのちを語る、いのちを聴く 〜バースストーリーと呼吸の会〜」を開催します。
最大3人の小さな小さなサークルです。
ブレスワークと語りを通して、あなた自身の命の声に出会いなおす時間をご一緒できたら嬉しいです。
ブレスワークガイド/助産師もりたもえ
💐 ご参加を心からお待ちしています。